教育訓練管理の主な機能は自動化されていますが、自動化が実行される前に一部に設定が必要です。そのために、必要なオブジェクトレコードを作成して、ライフサイクルを適格な状態に更新する必要があります。

設定が完了すると、教育訓練管理はユーザに定義されている学習者ロールに基づいて割り当ての発行を開始します。教育訓練に必要なレコードの作成中は、すべてのレコードのライフサイクルが適格でない状態のままになっています。カリキュラムと要件の作成が完了すると、レコードをライフサイクルの適格な状態に移動できます。この時点でスケジュール済みのジョブが実行されると、教育訓練管理がユーザの学習者ロールに基づいて自動的に割り当ての発行を開始します。

設定の概要

教育訓練管理を使用するように Vault を設定するには、以下の手順を行います:

すべてのオブジェクトは連携して動作しますが、これらのレコードはどのような順序で作成しても構いません。

パーソン

教育訓練管理は学習者ロール、カリキュラム、および教育訓練要件を学習者に関連付けるためにパーソンオブジェクトを使用します。パーソンオブジェクトを使用して新しい学習者を追加します。パーソンオブジェクトの作成について詳しくは、ユーザおよびパーソンオブジェクトを管理するをご覧ください。

教育訓練ダッシュボードで教育訓練割り当てを管理するときにフィルタリングするフィールドを追加する場合は、部門フィールドをパーソンオブジェクトに追加します。

パーソンオブジェクトには以下の制限があります:

  • パーソン学習者ロールに関連付けられると、パーソンからユーザ参照を削除することはできません。
  • 複数のパーソンレコードで同じユーザを参照することはできません。
  • パーソン教育訓練割り当てレコードがある場合、他のユーザレコードにユーザ参照を変更することはできません。

マネージャアクセス

パーソンレコードを作成したら、教育訓練管理は、学習者の各教育訓練関連レコードの学習者のマネージャグループに任意の学習者のマネージャロールにいるユーザを割り当てます: 教育訓練割り当て割り当て詳細TA チェックリストTA 回答クラススケジュールクラス名簿セッション、およびセッション名簿学習者のマネージャグループには、該当する学習者に関連付けられたすべての教育訓練関連レコードへのアクセス権限があります。教育訓練管理ワークフローを設定してこのユーザにタスクを割り当てることができます。

第三者教育訓練

Vault のユーザアカウントを持たない学習者の場合、教育訓練管理者は第三者教育訓練を使用して、これらの学習者が Vault 教育訓練管理自動化経由で正しい教育訓練割り当てを受領し、かつ教育訓練の完了が適切に追跡されるようにします。この機能を有効にするには第三者教育訓練の設定をご確認ください。

学習者ロール

学習者の追加を行った後、ユーザに必要な教育訓練に基づいて学習者ロールを作成する必要があります。学習者ロールオブジェクトは、教育訓練の全課程を完了するために必要なカリキュラムを追跡します。例えば、学習者ロールとして品質マネージャを作成し、そのロール用に作成したすべてのカリキュラムにリンクさせることができます。

学習者ロール管理者 > 企業管理者またはカスタムオブジェクトタブから作成します。カリキュラムや個人を追加および表示するには、学習者ロールオブジェクトレコードをクリックします。

カリキュラム

学習者ロールの用意ができたら、特定の分野の教育訓練を完了させるために必要となる要件をまとめたカリキュラムを作成します。例えば、前述の品質マネージャ学習者ロールの一部として一般 GxP ドキュメントカリキュラムを作成することができます。

新しいカリキュラムは管理者 > 企業管理者またはカスタムオブジェクトタブから作成します。オブジェクトレコードビューから教育訓練要件と学習者ロールを追加および作成できます。

教育訓練要件

教育訓練要件はカリキュラムを完了させるために学習者が満たさなければならない条件です。引き続き前述の例で説明すると、一般 GxP ドキュメントカリキュラムを完了させるための教育訓練要件としてドキュメント管理および従業員行動規範を作成することができます。

教育訓練要件タイプ

教育訓練要件によっては、完了するために簡単な署名の教育 R&U が必要となるものもあれば、追加の学習のためのパスと完了の証明が含まれるものもあります。発行済の教育訓練割り当てには教育訓練タイプの組み合わせを含むこともできます。例えば学習者は、インストラクター主導の教育訓練に参加し、副教材の R&U を行った後に、クイズに回答して知識を示す必要がある場合があります。教育訓練要件を作成・保存すると、タイプを変更できなくなりますのでご注意ください。

教育訓練要件には 3 つのタイプがあります。

  • Vault ドキュメント: 最も基本的なタイプの教育訓練で、ユーザは、割り当てられたドキュメントを確認し、確認したことを証明するために署名をすることで、Vault ドキュメント教育訓練割り当てを完了します
  • クラスルーム教育訓練要件: クラスルーム教育訓練のコンポーネントには、予定された教育訓練のセッションが 1 つまたは複数含まれます。学習者は、予定された各セッションについてのクラス詳細、クラス資料、および情報にアクセスすることができます。インストラクターは、クラス名簿を使用して、学習者をクラスルーム教育訓練に登録します。
  • 外部教育訓練: この教育訓練タイプでは、学習者は、Vault の範囲外で生じたコンテンツまたはトピックに関する教育訓練を完了することができます。例えば組織では、学習者がサードパーティのオンラインコースを完了するか、あるいは外部の証明書を受ける必要があります。

置き換え教育訓練要件

教育訓練管理は、教育訓練管理者が定義する置き換えルールを使用して、必須または主要教育訓練割り当ての代わりに、代替または置き換え教育訓練割り当てを学習者に割り当てることができます。これを行うには、教育訓練要件を置き換えとしたら、置き換えるタイミングに関するルールセットを定義します。詳細は、置き換え教育訓練要件をご覧ください。

ドキュメント状態に依存する教育訓練割り当て

デフォルトでは、教育訓練要件固定状態以外 (例えば下書き承認済み状態) のドキュメントを参照している場合でも、Vault は教育訓練割り当てタスクを発行します。

教育訓練要件によって参照されるドキュメントに、教育訓練可能として特定のドキュメント状態を設定することができます。この場合、Vault はドキュメントがこれらのいずれかの状態にあるときにのみ教育訓練割り当てを発行します。Vault は各ドキュメントライフサイクルに対して有効な固定状態および教育訓練準備完了状態タイプを使用して教育訓練割り当てタスクを発行するかどうかを決定します。

教育訓練要件の繰り返し

QualityOne 教育訓練には、繰り返しタイプフィールドを使用して教育訓練割り当ての発行の繰り返しをスケジュールする 2 つのオプションがあります。繰り返しタイプを空白のままにした場合、アプリケーションは保存時に相対選択リスト値をデフォルトにします。

相対繰り返し

この繰り返しオプションを使用する教育訓練要件は、さまざまな学習者に対してさまざまなタイミングで発行することができます。Vault は、学習者が教育訓練を割り当てられたタイミングに基づいて相対繰り返しを計算します。

例えば、学習者が 2019 年 8 月 1 日に教育訓練を割り当てられ、繰り返しが 1 に設定され、繰り返し単位が年に設定されている場合、Vault は 2020 年 8 月 1 日に次の教育訓練をこの学習者に割り当てます。

絶対繰り返し

この繰り返しオプションを使用する教育訓練要件は、すべての該当する学習者に同時に発行されます。次の教育訓練日 (繰り返し) で、Vault は学習者に教育訓練レコードを発行します。次に Vault は、繰り返し繰り返し単位のフィールド値に基づいて次の教育訓練日 (繰り返し)の値を自動的に増加します。

クイズ

クイズは、教育訓練要件に設定できる任意のコンポーネントで、より詳細な教育資料に対するユーザの理解度評価を行うことができます。

教育訓練割り当て

前述のすべてのオブジェクトを設定し、適格なライフサイクル状態にしてからスケジュール済みのジョブを実行すると、Vault は関連する学習者に教育訓練割り当てを送信します。Vault がトレーニング割り当てを発行すると、ユーザのマイタスクページにこれらの割り当てが表示されます。ここからユーザは割り当てを確認し、完了させることができます。Vault ローダまたは API を使用してその他の教育訓練システムから Vault に教育訓練割り当てオブジェクトレコードをインポートすることができます。

教育訓練割り当てライフサイクルでユーザアクションを編集できますが、この機能はフォーマット済み出力のダウンロードユーザアクションのサポート専用です。このライフサイクルに他のアクションを設定しないでください (例: ~への状態変更ワークフローの開始ユーザアクション)。教育訓練割り当ての重複や、有効な教育訓練割り当てが完了できない、といった問題が発生する可能性があります。

教育訓練割り当て完了ワークフローについて

教育訓練割り当ては、学習者が教育訓練割り当てを完了するための標準ワークフローに基づきます。これらのワークフローは、教育訓練割り当てオブジェクトレコードの発行または直接割り当てによって開始します。教育訓練管理を使用して開始するために標準ワークフローを変更する必要はありませんが、組織の特定の教育訓練実施のニーズに合うよう、教育訓練割り当ての完了または外部教育訓練割り当ての完了ワークフローを調整できます。

教育訓練割り当て詳細レコードについて

教育訓練管理は、教育訓練割り当て詳細レコードを作成して、教育訓練割り当てとその関連付けられたカリキュラム学習者ロール間の関係を追跡します。教育訓練割り当てが複数のカリキュラム学習者ロール、または他のシナリオ (直接割り当て) の一部であるために、学習者には、同じ教育訓練割り当てが 2 回以上発行される場合があります。その場合、教育訓練割り当てレコードの詳細ページには、教育訓練割り当て詳細レコードとしてその割当の各インスタンスが一覧表示されます。

教育訓練管理者は、レポートで教育訓練割り当て詳細を使用して、教育訓練割り当てがどのカリキュラムまたは学習者ロールに該当するかを容易に見分けられる方法を学習者に提供することもできます。レポート作成の目的で、Vault は、教育訓練割り当て詳細レコードのルックアップフィールドに親教育訓練割り当てレコードのライフサイクル状態を保存します。

学習者ホームページのセットアップ

学習者ホームページは教育訓練割り当ての作業が 1 箇所でできるタブを提供します。学習者にランディングタブとして学習者ホームページを設定すると、Vault の新規ユーザに直感的なインタフェースが提供されます。

学習者ホームページの有効化

管理者 > ユーザおよびグループ > 権限セットで、教育訓練管理学習者ホームページ: マイラーニングページ表示権限を有効化します。次に、マイラーニングタブの表示権限を有効化します。管理者 > コンテンツ設定 > タブページで、ニーズに合うようにマイラーニングタブのラベルを変更することができます。

教育訓練割り当てのカード画像

教育訓練要件を作成する際に、学習者ホームページのカード画像フィールドで Vault ドキュメントを選択することで、学習者ホームページのカードビューに表示されるカード画像をカスタマイズすることができます。このフィールドでドキュメントを選択しなかった場合、カードは、デフォルトとして教育訓練割り当ての最初のドキュメントの最初のページを表示します。割り当てにドキュメントがない場合、Vault は教育訓練要件タイプに基づいてカード画像を表示します。Vault は、カード画像としてドキュメントのレンディションを使用し、適切にサイズ調整します。

モバイル教育訓練タスク完了の有効化

モバイルブラウザで表示した際、ドキュメント教育訓練割り当てにモバイルインタフェースを有効化するには、管理者 > 設定 > アプリケーション設定に進み、教育訓練管理モバイルインタフェースの有効化のチェックボックスを選択します。

タッチ機能対応の Microsoft Windows™ デバイスはデスクトップインタフェースを表示します。

カスタムフィールド値を教育訓練割り当てにコピーする

デフォルトで Vault は、教育訓練要件レコードから部門推定時間のフィールド値を作成された時点で教育訓練割り当てレコードにコピーします。同様にして値をコピーするように追加のカスタムフィールド値を設定することができます。これは、教育訓練割り当てレコードに対してカスタム共有または一致ルールを制御する上で有益です。この機能は、タスクを特定のユーザに割り当てる必要がある他の教育訓練タイプをサポートします。

例えば、教育訓練の特定のタイプに、教育訓練割り当てタイプを承認するための品質マネージャが必要であるとします。品質マネージャは、教育訓練要件に詳しいとします。教育訓練割り当てが作成されると、Vault は、品質マネージャ教育訓練割り当てレコードにコピーし、承認ワークフロータスクを品質マネージャに割り当てることができます。

教育訓練要件レコードから教育訓練割り当てオブジェクトに値をコピーするには、フィールドが以下の条件のすべてを満たす必要があります。

  • フィールド名とフィールドタイプが完全に一致する必要があります。
  • 教育訓練要件のフィールドが、適切な教育訓練割り当てのオブジェクトタイプに関連付けられている必要があります。
  • フィールドタイプがオブジェクトである場合、両方のカスタムフィールドに同じオブジェクト参照がある必要があります。
  • フィールドタイプが選択リストである場合、両方のカスタムフィールドに同じ選択リスト参照を持つか、一致する選択リスト値名を持つことができます。
  • フィールドタイプが数字である場合、最小または最大が教育訓練要件教育訓練割り当て間で一致する必要があります。この条件が満たされない場合、教育訓練割り当ての更新ジョブは該当する教育訓練割り当てを作成せず、QualityOne 教育訓練のジョブログにこのエラーを記録します。
  • フィールドタイプがテキストである場合、長さが教育訓練要件教育訓練割り当てで一致する必要があります。この条件が満たされない場合、教育訓練割り当ての更新ジョブは該当する教育訓練割り当てを作成せず、QualityOne 教育訓練のジョブログにこのエラーを記録します。

サポートされていないフィールドタイプ

Vault は以下のフィールドタイプをサポートしていません。これらのフィールドタイプは、フィールドがその他の条件を満たしている場合でも無視されます。

  • 数式
  • 通貨
  • ルックアップ

適格なライフサイクル状態

適格なライフサイクル状態とは、Vault が教育訓練割り当てを作成および発行するために必要な教育訓練オブジェクトレコードの状態です。これらは以下のように定義されます:

オブジェクト適格なライフサイクル状態適格でないライフサイクル状態
パーソンactive__vinactive__v
学習者ロールeligible_state__vretired_state__v, inactive_state__v
カリキュラムavailable_state__vretired_state__v, inactive_state__v
教育訓練要件available_state__vretired_state__vinactive_state__v

Vault が自動的に教育訓練割り当ての作成および発行を開始する前に、パーソン学習者ロールカリキュラム、および教育訓練要件オブジェクトレコードのワークフローアクションメニューから [適格な状態への] 状態の変更を選択する必要があります。

ユーザ権限の設定

以下に説明する権限に加えて、適切なオブジェクトとオブジェクトフィールドにアクセスするための適切な参照と作成の権限がユーザに付与されていることを確認する必要があります:

学習者ユーザの権限セットに、デフォルトでマイラーニングとラベル付けされた学習者ホームページタブに、表示権限があることを確認します。学習者ホームページから教育訓練割り当てのコンテンツを表示・完了するには、学習者権限セットに、教育訓練割り当てオブジェクトと、以下のオブジェクトフィールドに参照アクセス権限も含まれている必要があります。

  • 学習者
  • 期日
  • 教育訓練コンテンツセット
  • 直接割り当ての要求
  • クラスの一部

学習者ホームページやモバイル割り当てなど、一部の教育訓練管理機能には関連付けられたページがあります。これらのコンポーネントは管理者 > コンテンツ設定 > ページに一覧表示されます。学習者ユーザの権限セットに以下のページに対する表示アクセス権限があることを確認します。

  • 教育訓練管理学習者ホームページ: マイラーニングページ
  • 教育訓練管理モバイル: ドキュメント情報ページ
  • 教育訓練管理モバイル: インタースティシャル
  • 教育訓練管理モバイル: 学習者タスクページ
  • 教育訓練管理モバイル: 成功ページ