QualityOne Vaults では、QualityOne のリスク管理機能を使用して、ビジネスにおける企業、事業、製品、プロジェクト、顧客プロセスに関連するリスクを管理できます。リスク管理には、リスクマトリックスを使用してリスクレベルを定義し、リスクレジスタを使用して関連リスクを評価する機能などがあります。リスク管理は、HAZOP (Hazard and Operability Studies) および P-FMEA (Process Failure Modes and Effects Analysis) タイプのリスクスタディの作成と実行をサポートします。これらのツールは、組織がリスクに基づく決定を行う際に最新の要件に準拠できるようにすると同時に、リスクが顕在化する前に回避できるように支援します。
リスク管理オブジェクト
QualityOne は、リスク管理をサポートするために以下のオブジェクトおよびオブジェクトタイプを使用します:
リスクマトリックスのオブジェクト
- リスクマトリックス: 重要度と可能性に基づくリスクの定義を保存し、品質リスクマトリックスのように特定の状況に対するリスクレベル (致命度とも呼ばれます) を計算するために使用されます。定性的と定量的の 2 つ(2)のタイプのリスクマトリックスを作成することができます。
- 重要度: 特定の表で顕在化しているリスクの様々なレベルを定義します (例えば、「軽度」、「中程度」、または「重大」)。これらのレコードは一般的なリスクマトリックスチャートの列に表示されます。
- 可能性: リスクイベントが発生する可能性を定義します (例えば、「ほどんどなし」、「高い」、または「非常に高い」)。これらのレコードは一般的なリスクマトリックスチャートの行に表示されます。
- 検出可能性: 問題に気付くことの難しさを定義します。例えば、「可能性は低い」または「可能性が高い」または「可能性が非常に高い」です。これらのレコードは、三次元のリスクマトリックスの 3 番目の軸を表します。
- リスクレベル: 重要度、検出可能性、および可能性の組み合わせに基づいてリスクレベル (致命度または影響とも呼ばれます) を定義します。これらのレコードは一般的なリスクマトリックスチャートの個々のセルに表示されます。マトリックスチャートのセルの色は定義することができます。
リスクレジスタのオブジェクト
- リスクレジスタ: 特定のリスクイベントと特定された状況でそのリスクイベントが必要とするアクションを管理するために使用できるリスク台帳のレコードが保管されています。例えば、ビジネス全体で発生するリスクイベントを評価するために、「企業リスクレジスタ」を作成できます。または、新たに商品化された製品について、製品レベルで発生するリスクイベントを評価する「製品リスクレジスタ」などがあります。
- リスクイベント: 発生する可能性があり、特定されたリスクの影響を軽減するための低減アクティビティが必要になる可能性がある潜在的なリスクまたは機会。
- 低減アクション: リスクイベントに対する反応に応じて完了することが必要になる低減アクションを追跡し、許容可能なレベルまでリスクを軽減します。
- NCR: リスクイベントに関連する不適合レコードを取得します。
- HSE イベント: リスクイベントに関連する健康、安全性、環境、車両または物的損害のインシデント、ニアミス、および危険を取得します。
注: HSE イベントオブジェクトは現在、初期の利用者のみが利用可能です。詳細については、カスタマーサクセスマネージャまでお問い合わせください。
リスクスタディオブジェクト
- リスクスタディ: HAZOPや P-FMEA などのリスクスタディタイプのリスク分析を保存および実行します。ユーザは、既存のリスクスタディをコピーし、同じパラメータを今後のスタディに使用できます。ユーザはリスクスタディを利用して、リスクの受容または低減を決定する際に、リスクの受容レベルを評価します。
- リスク分析: HAZOP では低減前後のリスクの逸脱、原因、結果の定義、P-FMEA では低減前後のプロセスステップ、障害モード、影響、原因、制御の定義、リスクマトリックスでは低減前後の重要度、発生、検出可能性のスコアの定義を保存します。
- HAZOP ノード: HAZOP リスクスタディでの使用時に、サポート情報で識別されるノードのセットを保存します。
- FMEA プロセスステップ: P-FMEA リスクスタディでの使用時に、サポート情報で識別されるプロセスステップのセットを保存します。
リスクマトリックスの表示
Vault はリスクマトリックスレコードのセクションとして従来のリスクマトリックスチャートを表示することができます。表示されるのは、重要度と可能性のそれぞれの組み合わせに対してリスクマトリックスに定義されている値に対応してセルが色分けされているチャートです。可視化は、2次元のマトリックスのみ可能です。
リスクマトリックスオブジェクトページレイアウトにリスクマトリックスセクションを追加するには:
- コンテンツ設定 > オブジェクト > リスクマトリックス > ページレイアウト > [ページレイアウト]に進みます。
- セクションの作成をクリックして、リスクマトリックスのプレビューを選択します。
- セクションのラベルを入力します。
- 完了をクリックします。
- 任意の作業: リスクマトリックスセクションをクリックおよびドラッグして順序を並び替えます。
- 保存をクリックします。
例: 定性的リスクマトリックスの表示
例: 定量的リスクマトリックスの表示
検出可能性について
Vaultはデフォルトで、重大性と発生可能性に基づいてリスクを計算し、2次元のマトリックスで表示します。また、リスクマトリックスに検出性を含めることができ、Vaultはこれを3次元マトリックスで表示します。
リスクマトリックスの検出を可能に
QualityOne Vaultで検出機能を有効にするには、カスタマーサクセスマネージャにお問い合わせください。検出性を無効にすることはできず、ユーザはリスクレジスタおよびリスクイベントを作成および更新する際に検出性を定義する必要があります。
有効にすると、Vaultがリスクを計算する際に検出性を含めるために、リスク管理の設定を更新する必要があります。
リスクマネジメントの設定に検出性を加える
既存のリスクマネジメントの設定に深刻度と可能性のみが含まれている場合、検出性も含めるように設定を更新する必要があります。一度設定すれば、ユーザは新しいマトリックスを作成したり、既存のレコードを更新して検出性を含めることができます。
検出性が含まれるように、リスク管理の設定を更新する方法:
- リスクマトリックス設定オブジェクトの検出性フィールドで、ユーザは常に値を入力する必要があります (必須)チェックボックスを選択して、フィールドを必須にします。
- リスクイベントオブジェクトについて:
- リスクマトリックスオブジェクトのページレイアウトについて:
- 関連オブジェクトセクションとして検出性を追加します。
- 検出性評価 が新しいオブジェクトセクションに表示される列であることを確認します。
Vaultは、ユーザがリスクイベントを編集するまでは、リスクを2次元マトリックスで表示し、その時点で検出性を定義する必要があります。検出性が定義されると、Vaultは2次元マトリックスを3次元マトリックスに変換します。一度変換したマトリックスを、2次元に戻すことはできません。
リスク管理の設定に検出性を含めない場合、Vaultは重大性と発生の可能性だけでリスクレベルを計算し続けます。
リスク管理オブジェクトアクションの設定
リスクスタディオブジェクトライフサイクルには、リスクスタディのコピーアクションが含まれます。このアクションは、関連するリスクスタディ、HAZOP ノード、FMEA プロセスステップ、およびリスク分析レコードのクローンを新しいレコードセットに作成するトリガーとなります。
ユーザがリスクスタディのコピーアクションを実行する際、Vault は以下をコピーしません:
- システム管理フィールド。
- フィールド (このフィールドをコピーレコードにコピーしない設定が選択されている場合)。
- HAZOP ノードと FMEA プロセスステップレコード (階層コピーを許可設定が選択解除されている場合)。
- リスクスタディレコード (リスクスタディレコードからコピー可能なレコードが 1,000 件以上ある場合)。
ビジネスニーズに応じ、このアクションをリスクスタディオブジェクトに対するレコードアクションとして、または該当するリスクスタディライフサイクル状態に対するユーザアクションとして追加できます。